経歴齟齬による不許可のリカバリー方法

1.現状の把握

まずは現状を正確に把握することが重要です。過去の申請歴の確認や、申請書類の控えを持っているかを申請人本人に確認します。初入国から現在に至るまでの経緯を詳細に把握することが必要です。

申請人が申請時の書類控えを持っていれば、次のステップへ迅速に進むことが可能ですが、控えを保持している方は少数です。その場合、保有個人情報開示請求を活用し、過去に提出した申請書類を入手します。

請求の際には、申請受付番号が分かれば理想的ですが、取得する書類を特定するために、申請日、申請場所、申請種別などの情報を確認しておく必要があります。

2.事実の把握~経歴の整理

過去の申請書類が入手できたら、それらを精査し、どの部分に齟齬があったのかを把握します。複数回の申請がある場合は、すべてを確認し、入管に提出した履歴書を比較・整理します。

齟齬を特定するために、マトリクス表を用いた比較表を作成すると、相違点が明確になり、再申請の際の資料としても有効活用できます。

 
例) 過去申請① 過去申請② 今回申請
○○○○年○○月 ○○入社 □□入社 △△入学
○○○○年○○月 ○○退社 □□入社  
○○○○年○○月     △△卒業

3.原因分析

経歴に相違が生じた原因を徹底的に分析します。主な観点として、以下の点を確認する必要があります。

・なぜ異なる経歴を記載したのか?

・本当の経歴はどれなのか?

・記載の相違が発生した背景(記憶違い、資料の不足、意図的なものかなど)

・経歴の証明に使用した資料の信頼性・申請時のサポート体制(通訳や仲介業者等の関与)

申請人へのヒアリングを通じて、履歴書の記載内容が異なってしまった理由を明確にします。特に、記載内容の相違が単なる記憶の相違によるものなのか、意図的な修正が加えられたのかを判断することが重要です。

また、雇用主や推薦人からの証言や追加書類の入手を行い、正確な情報を得ることも検討すべきです。原因によっては、今後の対応方針が大きく異なるため、安易な妥協は避けるべきです。

再申請に際しては、齟齬の原因がやむを得ない事情であり、合理的であることが求められます。不利な内容であっても、真実を誠実に開示することが信頼回復の第一歩です。虚偽や隠ぺいは厳禁です。

4.正しい経歴の精査

正確な経歴を確定させ、関連する証明書類を改めて精査します。それらが正しいものであることを客観的に証明するエビデンス(裏付け資料)の準備が必要です。

具体的には、以下のようなステップを踏むことが重要です。

・過去の勤務先や学校への確認依頼

・公的機関(市区町村・商工会議所等)からの証明書類取得

・職歴に関する推薦状や勤務証明書の入手

・学歴についての卒業証明書や成績証明書の再発行依頼

過去に虚偽申請を行ったと見なされる状況を払拭するために、学歴や職歴に関する可能な限りの証明書類を提出し、「これがすべてであり、偽りはない」と明確に示すことが求められます。

5.理由書のまとめ

1.~4.のプロセスで得た情報を整理し、理由書を作成します。

理由書のポイントは以下の通りです。

① 経歴の齟齬内容

② 齟齬が生じた理由

③ 正しい経歴の提示

④ 信ぴょう性のあるエビデンスの提示

作成の流れとして、申請の経緯、提示履歴の整理、齟齬が生じた原因分析、正しい経歴の精査、申請人の反省点や今後の対策を明確にし、審査官に誠意が伝わる内容とすることが重要です。

6.再申請に当たって

本コラムは、不許可後の再申請に向けた一例です。入管申請は個別審査が基本となるため、それぞれの状況に応じた柔軟な対応が必要です。ひな形に沿って書類を作成すれば許可が得られるものではありません。

外国人採用の場面では、不許可となれば採用が見送られるケースが大半です。再申請が行われるのは、雇用主と外国人との間に強い信頼関係がある場合が多く、雇用主が支援を望むケースに限られます。

経歴齟齬による不許可のリカバリーは非常に難度が高いため、自社での対応には限界があるものと思いますので、専門家に相談し、適切な対応を検討することをお勧めします。

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