転職後の届出は忘れずに

所属機関等に関する届出

入管法第19条の16には、中長期在留者による所属機関等に関する届出が規定されています。この規定により、中長期在留者は転職や退職など一定の事由が生じた場合、その事由が生じた日から14日以内に所定の届出を行わなければなりません。

しかし、この届出義務については十分に周知されているとは言えないのが現状です。外国人を雇用する企業はもちろんのこと、当事者である外国人自身もこの義務を認識していないケースが多く見受けられます。また、届出を怠ったとしても、現時点では即座に罰則が科されるわけではないため、結果的にこの規定が見過ごされがちです。

最近では、在留期間更新申請の際に、届出を怠っている場合に指導を受ける事例が増加しています。このことから、今後は届出の履行状況が入管審査においても重要視される可能性が高いと考えられます。

企業や外国人本人にとって、この届出が適切に行われているかどうかを確認し、入管法上の義務を確実に履行することが求められます。届出の履行は、企業のコンプライアンス意識の向上や外国人労働者の適正な雇用環境の確保に直結する重要な要素であり、軽視することは許されません。

入管法第19条の16(所属機関等に関する届出)

中長期在留者であって、次の各号に掲げる在留資格をもって本邦に在留する者は、当該各号に掲げる在留資格の区分に応じ、当該各号に定める事由が生じたときは、当該事由が生じた日から14日以内に、法務省令で定める手続により、出入国在留管理庁長官に対し、その旨及び法務省令で定める事項を届出なければならない。

1 教授、高度専門職(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第一号ハ又は第二号(同号ハに掲げる活動に従事する場合に限る。)に係るものに限る。)、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学又は研修 当該在留資格に応じてそれぞれ別表第一の下欄に掲げる活動を行う本邦の公私の機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は当該機関からの離脱若しくは移籍

2 高度専門職(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第一号イ若しくはロ又は第二号(同号イ又はロに掲げる活動に従事する場合に限る。)に係るものに限る。)、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行(本邦の公私の機関との契約に基づいて当該在留資格に係る活動に従事する場合に限る。)、技能又は特定技能 契約の相手方である本邦の公私の機関(高度専門職の在留資格(同表の高度専門職の項の下欄第一号イに係るものに限る。)にあっては、法務大臣が指定する本邦の公私の機関)の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は当該機関との契約の終了若しくは新たな契約の締結

3 家族滞在(配偶者として行う日常的な活動を行うことができる者に係るものに限る。)、日本人の配偶者等(日本人の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。)又は永住者の配偶者等(永住者の在留資格をもって在留する者又は特別永住者(以下「永住者等」という。)の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。) 配偶者との離婚又は死別

どのような場合に届出が必要か?

中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カード番号に加え、次の該当する事項を記載して届出をする必要があります。

1.「技術・人文知識・国際業務」「介護」「興行」「技能」「特定技能」etc
  1. 契約機関との契約が終了した場合
    (転職・退職などにより、現在所属している契約機関との契約が終了した場合)
  2. 新たな契約機関と契約を締結した場合
    (転職により、新たな契約機関と契約を行った場合)
  3. 契約機関の名称変更の場合
    (現在所属している契約機関の名前が変わったとき)
  4. 契約機関の所在地変更の場合
    (現在所属している契約機関の所在地が変わったとき)
  5. 契約機関の消滅の場合
    (現在所属している契約機関が廃業した場合)

【留意点】

<出向(在籍出向・移籍出向)の場合>

出向により出向先との労働契約関係が生じ、出向に当たっては労働者である2号中長期在留者の同意が必要であることなどから、出向は新たな契約の締結に該当するとして、新たな契約締結の届出が必要になる。

なお、契約機関の異動命令に基づき、これまでと異なる場所で勤務することになった場合(配置転換)には、同一所属機関内の異動なので、新たな契約締結の届出は必要ない。

<労働者派遣の場合>

2号中長期在留者の派遣の場合、労働契約関係が生じるのは派遣元との間だけであるので、契約機関は派遣元となる。したがって、常用型派遣においては派遣元との雇用契約締結時には新たな契約締結の届出が必要になるが、個々の派遣先で稼働を開始した時には、契約機関の異動が生じないため、届出の必要はない。

<別の機関との雇用契約等の締結(二重契約等)の場合>

2号中長期在留者が、所属機関等との関係を維持しつつ、新たに別の機関と雇用契約等を締結した場合、原則として、当該別の機関も契約機関に該当することになるため、新たな契約締結の届出が必要になる。

※転職により就労資格証明書交付申請を行った場合であっても、それを理由に届出義務を履行したことにはならないので、別途届出は必要になります。

2.「経営・管理」「企業内転勤」「教育」「技能実習」「留学」etc
  1. 活動機関から離脱した場合
    (転職・退職・卒業などによりこれまでの活動機関での活動を終えた場合)
  2. 活動機関の移籍があった場合
    (転職や進学などにより、新しい活動機関に移った場合)
  3. 活動機関の名称変更の場合
    (現在所属している活動機関の名前が変わったとき)
  4. 活動機関の所在地変更の場合
    (現在所属している活動機関の所在地が変わったとき)
  5. 活動機関の消滅の場合
    (現在所属している活動機関が廃業した場合)

雇用後の在留管理が重要になっていく

近年の外国人雇用においては、在留資格に関する申請の許可・不許可だけに注意を払うのでは不十分であり、予期せぬトラブルを防ぐためにはその後の在留管理がますます重要となっています。在留資格に関連する届出義務は本来、外国人本人に課されているものであり、雇用主である企業に法的な義務はありません。しかし、現状では多くの外国人労働者がこれらの手続きを十分に理解していない、あるいは適切に履行していないケースが少なくありません。

そのため、雇用企業としても、これらの手続きに関する基礎的な知識を持ち、必要に応じてサポートできる体制を整えておくことが、スムーズな雇用継続を実現するための重要なノウハウとなります。適切な在留管理を行い、実績を積み重ねることは、将来的に外国人労働者の在留資格に関する審査で有利に働く可能性が高く、結果的に企業にとっても大きなメリットとなるでしょう。

特に、届出を怠ることが今後の審査において不利益要素として取り扱われる可能性が指摘されているため、届出規定についての正しい理解と認識は不可欠です。

企業が外国人雇用を円滑に進めるためには、単に在留資格申請時の対応だけでなく、雇用後の管理体制をしっかりと整えることが重要です。これには、外国人労働者への適切な情報提供やサポート体制の構築が含まれます。このような取り組みを通じて、企業と外国人労働者双方にとって、安定した雇用関係を築くことが可能となるでしょう。

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