永住許可申請の提出書類の改定について《2019.7.1》

「永住許可に関するガイドライン」が令和元年5月31日付で改定されました。

改定のポイントは次の２つです。

1. 国益適合要件中「原則として引き続き１０年以上本邦に在留していること。ただし就労資格又は居住資格をもって引き続き５年以上在留していることを要する」の部分で、就労資格として技能実習と特定技能は含まないことが明記された。
2. 「納税義務等公的義務を履行していること」の部分が、納税だけではなく、公的年金及び公的医療保険の納付についても具体的に明記された。

上記②の部分に関して、2019年7月1日申請分から大幅に提出書類の内容に変更・追加がありました。

概要は次の通りです。

1. 住民税の課税（又は非課税）証明書及び納税証明書の必要年数の変更
   ・「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」　「直近１年」→「直近３年」
   ・「定住者」又は「就労系の在留資格」及び「家族滞在」　「直近３年」→「直近５年」
2. 住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料の追加
   ・通帳の写し、領収証書等
3. 国税の納付状況を確認する資料の追加
   ・源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書（その３）
4. 直近２年間の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料の追加
   ・ねんきん定期便又はねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
   ・国民年金保険料領収証書（写し）
5. 直近２年間の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料の追加
   ・国民健康保険被保険者証（写し）
   ・国民健康保険納付証明書
   ・国民健康保険領収証書　など
    

ここ最近、永住許可申請については審査が厳しくなってきた印象でしたが、今回の改定によりさらに審査が厳しくなっていくものと思われます。年金の評価についてはグレーゾーンでしたが、必須の書類として明確に要求されたり、課税・納税証明書の提出期間が長くなったりと、帰化と同等もしくはそれ以上の要求書類となっています。さらに、税金・年金・健康保険料については、納付しているだけでは足らず、期限内に納めていることもチェックされますので、外国人の方にとってはこれまでと比してとんでもなく高いハードルになっているものと感じられると思います。特に自営業者や事業主の方は要注意です。

居住年数と最長の在留期間で永住許可申請できる要件がクリアできたと安易に申請できる内容ではなくなっています。永住許可申請を視野に入れている方は、これからは特に、長期に計画的にこれらの実績を積み上げて準備していく必要があるでしょう。

外国人就労者の受入拡大に反して、永住許可はますます厳しくなっていきそうです。