「技術・人文知識・国際業務」は、以前は「人文知識・国際業務」と「技術」に分かれていましたが、平成26年の入管法改正により統合されてできた在留資格です。「人文知識・国際業務」は文系、「技術」は理系といった類型に分けて考えることが多いと思います。
中でも文系の「人文知識・国際業務」は「技術・人文知識・国際業務」のうち、文字通り「人文知識」と「国際業務」のカテゴリーをあわせて規定した、業務を限定して就労可能な在留資格の類型になり、在留資格取得を検討する際には細分化して考えることが必要になってきます。
「人文知識」「国際業務」のカテゴリーは、具体的にはそれぞれ次のような活動のことをいいます
「人文知識」と「国際業務」のカテゴリーでは、厳密には許可要件が異なるので、許可要件の該当性を検討する際には、上述の通り分けて検討することが重要になってきます。
「人文知識」「国際業務」の在留資格該当性は次の通りです。
「人文知識」・・・本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を要する業務に従事する活動
「国際業務」・・・本邦の公私の機関との契約に基づいて行う外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動
「人文科学の分野に属する知識を必要とする業務」とは、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務であることを示すとされています。これは、人文科学の分野に属する技術又は知識がなければできない業務であることを意味しています。
しかし、実務上、この一定水準とはそれほど高いものではありません。単純労働ではない、それなりの知識やスキルを必要とする業務であることを合理的に立証できれば許可の可能性があります。申請人の非代替性、いわゆる本人でなければ当該業務ができないことまでは要求されません。
だからといって、立証が簡易でもよいということではありません。単純労働であるという評価を受けないために、当該業務にはそれなりの知識やスキルが必要であること、その知識やスキルをいつ(When)どこで(Where)どのように(How)修得したのかを具体的に立証することは重要です。
「外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務」とは、いわゆる外国人特有の感性、すなわち、外国に特有な文化に根差す一般の日本人が有しない思考方法や感受性を必要とする業務を意味しています。そのためには、外国の社会、歴史・伝統の中で培われた発想・感覚をもとにした一定水準以上の専門能力を必要とするものでなければならないとされています。
しかし、実務上は、この「外国人特有の感性」もそれほどハードルは高くありません。「人文知識」同様、申請人の非代替性、いわゆる本人でなければ当該業務ができないことまでは要求されません。また、日本ではなく、本国での当該業務に係る活動を実務経験として、その実務経験に関連する業務を日本で行うための申請であれば、そのこと自体で外国人特有の感性を必要とする業務であると事実上推定され、それがなぜ「外国人特有の完成を必要とする業務であるか」についてまでは、特段の立証は要求されないのが通常です。もちろん、それが微妙な事案については、その部分を具体的に立証する必要はあります。
申請人が人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な知識を修得していること。
「人文知識」においては学歴要件、実務要件どちらにも該当している必要はなく、いずれか一方に該当していれば要件を満たします。
学歴要件では、単に大学等を卒業していれば足りるとされているわけではなく、従事しようとする業務に必要な知識に関連する科目を専攻して卒業していなければならないと規定されています。つまり、従事しようとする業務と専攻した科目の内容が関連することが必要になります。関連のレベルとしては、一致していることがまでが求められているわけではなく、あくまで専攻科目と業務内容が関連していればよいのであって、関連性については比較的緩やかな判断基準とされています。
申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
以前は、「外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動」として、「国際業務」カテゴリーの在留資格該当性が認められるのであれば、少なくとも、「その他これらに類似する業務」にあたると判断されていましたが、最近では業務内容の審査も慎重にされるようになり、「翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾もしくは室内装飾に係るデザイン、商品開発」又は「これらに類似する業務」であることを具体的に立証を行うことが十分に必要であります。
実務経験は、「関連する業務について」のものであれば足り、外国人が日本において従事しようとする業務そのものについての実務経験を有することまでは必要とされていません。申請人がこれまで経験した実務の内容や成果を具体的に立証した上で、それが、これから従事しようとする業務になぜ(Why)、どのように(How)関連するのかを合理的に説明するところがポイントとなります。
なお、従事しようとする業務に関する実務経験は、職業活動として従事した期間をいい、夜間学部を除き、教育機関に所属している間にアルバイト的に従事した期間は含まれませんので注意が必要です。
お問い合わせは、電話またはフォームにて受け付けております。
営業時間外、定休日でもお電話であれば夜20時まで受け付けています。
メールでのお問い合わせは24時間受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。初回無料相談につきましては、対面での相談に加え、オンラインでの相談にも対応させていただいております。お気軽にご利用ください。
受付時間:9:00~18:00
定休日:土曜・日曜・祝日
事前のご予約で土日祝、夜間も対応可能です。